夢はいつかは醒めるけど、はかなく切ない夢の時を生きて行こう


永遠の嘘をついてくれ

2009年06月27日 14:34

95年、吉田拓郎はニューアルバムのレコーディングの前に、中島みゆきに曲を依頼した。「もう歌が作れない。遺書のような曲を作ってくれ。」
拓郎が、人のために曲を作ることはあっても、自分の曲を人に頼むことなど考えられない。それほど行き詰っていたということだろうか。
レコーディングのために外国へ出発する前日に、中島みゆきからデモテープが届いた。そのテープには、彼女の泣き叫ばんばかりの歌声が入っていたという。

歌は、自分を捨てていった男への未練の歌だ。
捨てられたとわかっていても、それを認めたくない女と、やさしさからかずるさからか、女に別れを言い出せない男の歌。女は、現実を受け入れることが怖くて、「永遠の嘘をついてくれ」と男に叫ぶ。

歌詞には、中島みゆきのもう一つの思いが込められている。
拓郎は、中島みゆきにとってヒーローだった。そんなヒーローから「もう歌が作れない」そんな言葉は聞きたくない。「永遠に嘘をついてくれ。種明かしをしないでくれ」そんな彼女の思いが込められていた。
アルバムは完成し、それをきっかけに拓郎は復活をする。

自分のサイトを更新できないまま放置して、もう随分経ってしまった。
井戸水が枯れてしまったのか、ネタが尽きてしまったのか、どうしても書けなくなってしまった。
もちろん私はプロではないから、書かなければいけない義務も責任もない。まして書いたところでどうなるというものでもない。
けれど、かつてたくさんの思いをいただいた人にすれば、「永遠の嘘をついてくれ。たねあかしをしないでくれ」そんな思いかもしれない。

「新しい作品ができたら是非教えて下さいね」といっていただいた、札幌の小学校の先生と33人の生徒との約束を、私はまだ果たしていない。
書くことを決めた者にとって、プロもそうでない者も、区別などないのかもしれない。

永遠の嘘をついてくれ(つま恋2006)
とにかく中島みゆきがかっこいい。中島は、曲も詞も歌もいいのだが、喋るといけない。まるで別人になる。
それがここでは一言も喋らず、背筋をピンと伸ばして登場し、手を高くあげて去っていく。

 

https://www.youtube.com/watch?v=q1sRAXZ-qLM&feature=player_detailpage

 

—————

戻る